2015年 07月 17日
本記事の構成は ・ややネタバレ感想 ・(余白) ・完全ネタバレこまごま列挙 となっております。 さてバケモノの子。身寄りをなくした‥‥というか拒否した少年がバケモノに拾われ、人としてバケモノとして成長していく…というお話。 毎回毎回極端に評価が割れることでおなじみの細田映画だけに不安はあったのだが、やはり好きなことは好きなので今回も映画館に足を運んだ。先に言ってしまえば今回も大筋では「いつもの細田映画」であり、とにかく惹かれる部分の多さ少なさが主観評価の要になる。先に好きになってしまえばヌルい部分は気にならない、というのが細田映画だ。イビツであれども尖ってる、というのが細田映画だ。 ――途中まではよかった。途中まではベストキッド的バケモノキッドなお話で、そこそこに爽快感もある純然無骨な成長譚である。半分ケモノでファンタジーな世界はなかなかに素敵だ。俺も「このまま余計なことをしなけりゃ今回はイケるのでは…!?」と思えた。 ところがどっこい細田映画、そのような淡い期待は許さない。今回も中盤で「いつものやつ」が始まってしまい、アッこれはヤバいのでは‥‥という思いが脳裏をよぎった。よぎったが、序盤にそこそこノれてたのでギリギリ大丈夫だった。このあたりはまあ、ツッコミどころはありすぎるものの、「なんで決めつけるんだよ!」のあたりとかイケてるし中学生日記的な良さはある。 ところがどっこい細田映画、二段オチならぬ二段落ちでこの映画は転落する。試合はイケてる楽しめる。しかしながらその前から「闇」が張り巡らされてるので、ああ、このあと来ちゃうんだろうな、「闇」‥‥というのがわかってて、それでその通り「闇」が来ちゃう。来ちゃうんだもんなー闇!あーー!もーー!!このへんは後述のネタバレ感想で書こう‥‥。 ともかく、序盤からそういう片鱗は出てたし、マサキのじーさまも言ってたが、この映画は説明しすぎ・直接的に描きすぎなのである。萎えるったらない。一生懸命登山したら山のあらゆるところに立て看板が死ぬほど立ってた、みたいな残念気分である。宮崎吾朗ならまだわかるが、あの、あの細田守が‥‥機微に富んだ芝居を描ける細田守がこんなに脚本を書けないとは‥‥。餅は餅屋なのだろうか。正直やっぱり抑えて、今まで通り原案だけにしたほうがいいと思う。 闇を闇として、穴を穴として描いちゃうのも台無し極まりなかったが、台無しといえばそもそも念動力とかいらないよね‥‥。明らかに格闘とか筋肉修行より強いし‥‥一応「念動力としては」小石飛ばすくらいに留めてるけど。終盤の無駄スペクタクルもいらないし‥‥。「紅の豚」寄りにすればいいのに‥‥。そうすっと劇中だけで三番煎じになるかと思いきや、親は重量バトル、子は能力vs軽業の細身バトルで差別化できるじゃん‥‥?はあ、湿っぽくなっちまったな‥‥ 誤解しないでいただきたいのは、「じゃあわかりにくくすればいいってことなの?」ではないということだ。ひねりにひねって直接的じゃない描写に走りすぎると後年の宮﨑駿みたいな変な映画になってしまう(面白いけど)。専門家じゃないからうまく言えんが、こう、バランスがよお‥‥ というわけであまり褒められない映画でした。とは言っても、何度も申し上げるが刺さる人には刺さる。いいところはあるのよ!ダメなところを良さと勢いで殴り飛ばすことができるかどうか、というのが細田映画なのだ。そしてオリジナルを作り続けてるというのはものすごいことなのだ。よっていろんな人に観てもらいたいし、いろんな感想も聞きたい。ファッキンdisブログを読んでないで映画館にGo!プリンセスプリキュア! 以下、しばらくの改行を挟み、だらだらネタバレ感想に移る。蛇足なんで読まなくてもいいけど、本編を観る気がある人は帰ってきてから読んでね☆ ↓ ↓ ↓ というわけでネタバレ爆裂ピックアップ。 順番が前後してると思うけど勘弁。 △ 最初のファイヤーなシーンだけ音質おかしくねえ? ◯ 音楽よし。 ◯ なんでファイヤーしてるのかはよくわからないが普通にカッコイイ。 × 親戚のシーンが異常に長い。孤独を印象付けるのは必要ではあるが‥‥ △ 初見で「バケモノ‥‥!」とか言っちゃうの微妙。別に「そういう世界」じゃないし。 ◎ 最初から豪放磊落な熊徹と慎重なサルはキャラが立ってていい。 ? ていうか途中で猪王山も人間界に来てるけど何の用なの? △ 最後までずっと監視カメラ演出挟んでるけど大きな意味はない‥‥ ◯ 異界への道筋はあざとさがあるけど、まあ、いいよね。 × ここ象徴的なんだけど、「今来た道が、ない!」って言いながら壁を触るのよね。そのセリフいらないよね。画面と音声で重複してるし。「あれっ‥‥あれ!?」とかで十分。ここで「この映画大丈夫かな‥‥」って思って大丈夫じゃありませんでした。 ◎ 渋天街は全体的にイケてる。 − 完全に個人的な理由でアレなのだが、俺はたまごかけごはんがちょっと‥‥食い物で汚いのもちょっと‥‥。戻ってきてもっかい食うのは◯。 − ここで猪王山が「人間はそのひ弱さゆえに闇を宿すと聞く」って言うけど、ここは「闇」で正しい。伝承・伝聞であることもそうだし、猪王山の口調的にも。 ◯ 決闘はなかなかいいバトルだった。 ◯ 決闘の群衆、動きはめっちゃ3Dだけど絵的には完全にマッチしてて気づかない人は気づかないレベルまで上げられてると思う。3Dで動かしてから手で描き直してるかもしれんけど。 ◯ 宗師さま、いいよね‥‥。いいんだけど、後半役に立たないから前半の超越っぷりはなんだったんだよ‥‥ってなるし、そこは△。 ◯ 最初の剣術シーン、ちょっとくどいけど良い。わかんねえよな! ◯ 「足」。静けさも相まって「おっ」となるシーン。ただ、微妙に唐突なんで観察眼があることをもうちょっと前フリしてもらいたかったかも。これによって単なる師弟関係にとどまらなくなるのは◎。教えて、教えられる。大変よい。 ◯ 真似る。キッズアニメ的なわかりやすい楽しさがある。 ◯ 坊さんは説明しすぎだが、「一人で強くなった報い」は沁みる。説明しすぎてることによって「これ実体験の話ですよね」とか「これが描きたかったんですね」感が強く出すぎてるが、坊さんが説明したがりだから仕方ないね、と着席。 ◯ 二郎丸(幼)すげえ声してるよね。いいやつだし。「実はいいやつ」なのが「表面上いいやつ」の彼と対比になってるのもナイス。 ◯ 旅、いいよね。ここまで来てやっと「あっ西遊記だったのか」と気づいたのだが、スタッフロールによると西遊記じゃなくて中島敦の『悟浄出世』なんだってさ。「石になってしまわれた‥‥」がいちばん良かった。なんか「ちょっと視線を外して戻したら地蔵になってる」ドラマなかったっけ? ◯ 年齢表現よし。ショタは終わり!店じまいです! ◯ 「そうなるのかぁ〜!」って流れでいきなり本に興味をもつわけですけど、いやあ、そこまではわかるんですけど‥‥ - - - - - - - - - - - - - - - × 勉強ができちゃうのはダメでしょ‥‥勉強ナメすぎ。なんでいきなり大検やねん。劇中でもツッコまれてるのに‥‥。大学に行って女子大生と獣のようなセックスでもするんだろうか。(それは前作) − ヒロインはなんか‥‥空気? − 話的にどうでもいいけど、10年近く行方不明だった子供がいきなり出てきたらいろいろオオゴトになりそう、とかいろいろ気にはなる。 ◯ 父親がしっかりしてるのは良かった。描かれてない本編前の部分も透けて見えるし。それでいてちょっと咬み合わない、というのもイカす。 ◎ 上でも書いたが「なんで決めつけるんだよ!」のとこは良い。揺れる心! ◯ で、どっちも自分の居場所じゃなくなる感じもちょっといい。 ◯ 二郎丸(大)の声聞いた瞬間に「お前かーい!」ってなって笑った。 ◯ このへんの一郎彦はいい!口元を隠してるのもいいし、こういう感じに表出するならいいのにね‥‥ × 「あれは‥‥子供の頃の俺!?」とか口に出しちゃうのがほんとに萎える。 − 網ドン‥‥ - - - - - - - - - - - - - - - ◯ 試合。これもいい戦闘だった。「じゃが、二人ならば」とかね。言葉で説明しなかったらもっとよかったけど。そこぉ! △ この会場にマイクがあることにかなり「えっ」てなった。いや、でも序盤から電灯とかあったっけ‥‥?覚えてない。 ◎ ワンテンポ遅れて「ひゃー」。これは面白かったからアリ。よくある動じない描写だと思ってたんで、意表を突かれて笑った。 × あれだけすごかった宗師さまが「ハッ、剣がない!」とか言うの超ずっこける。ここでこういうのやらせるなら序盤の描写をやめるか衰えてる描写が必要では。 × 絶対やるだろうなーと思ってたら案の定グサー。しかも闇で。 △ 坊さん、いまいち浅い人だよな‥‥いや豚だが‥‥ ◯ 探しに来たのにソッコーで相手のほうから襲ってくるのはいい崩し方だった。 △ 最初に迫ってくる一郎彦の絵、ひどくない‥‥?3Dっぽいやつ。 △ このへんのヒロイン、マジで邪魔なだけだよね‥‥。退かないなら退かないで、もっと活かしてほしかった。 × ここでアレになっちゃうの、もうホント、目を覆いたくなるぜ‥‥。そういう映画じゃねーだろ明らかに‥‥。 展開的にはそこらへんの人を斬ったり刺したり殺して回るのが正しいんだろうけど、しかしそういうのをやるのも問題があるだろうからね‥‥ってのを加味してもアレはない。せっかく子供の頃の蓮っていうファクターがあるんだから、子供の頃の蓮そのものと一郎彦を重ねつつ九太と戦わせるとかでよくない? × なんか制作上の都合で移動してるんだろうけど、移動いるの‥‥?そして渋谷が大爆発してるときに電車は動くのか? × 「蓮くんまさか!」「お前の闇を全部飲み込んでやるー!ウオー!」のところ、マジでまったく意味がわかんなかったんだけどどういうことなの‥‥?なんか吸収してるのも意味わからんし、何がまさかなの?ホモなの? △ 付喪神は「そのものが成る」ものであって、こういうもんじゃなくない? × 心の中の剣になる!っていうそれ自体はいいんだけど、直接描かれてる穴に直接入って穴を埋めるっていうのが表現として最悪すぎて‥‥。くまソードと九太の剣を2本持って炎の剣が消え始める → なんか思い出描写 → くまちゃん九太に宿る → 剣を振ると炎が出る、とかそういうの、あるじゃん‥‥何あれ‥‥安くした逆ウテナ‥‥? △ な~んだ忘れたのか。そっか~。 △ あ!これゼミで見た問題だ! × ほんとに進研ゼミのマンガみたいな締め方するから上映時は「あ~進研ゼミだアハハ~もうどうでもいいけど~」とか思ってたけど、冷静に考えるとヤバいよな‥‥?これだとただ単にバケモノ界を荒らして勝手に人の野に帰っただけだよな‥‥?ぐったりしてて記憶が曖昧なんで進研ゼミのあとになんかあったような気もするけど‥‥この話マジやばくない?まあこうすると続編も作れる構造になるけど‥‥ - - - - - - - - - - - - - - - というわけで長々だらだらハイパー上から目線で書いてしまいました。トーシロが後出しでこういうの書くのほんとに卑怯なんだけど、あまりにも、あまりにもよお‥‥。 俺からは以上だ!君たちも映画感想をブログに書くのよ。
by wonderful-si1ver
| 2015-07-17 20:54
| 電影類
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